ただし、アフリカではそのアンメット・ニーズ自身がそんなに大きくないという報告がある。サハラ以南アフリカのうち、人口保健調査 Demographic Health Surveyを最近行った20の国で、家族計画を実行したいと希望している夫婦(実行している夫婦も含めて)の比率は平均44%にすぎない。これは東アジアを除いたアジア8ヵ国の平均67%に比べるとかなり低い。サハラ以南アフリカのアンメット・ニーズは29%であり、それ自身高いが、しかしこれが充足しても、いぜん過半数の夫婦は家族計画に無知であり、実行意欲に乏しいのである。やはり、アフリカの出生率が国連の中位推計の筋書き通りに、2020年代に3.34、2040年代に2.10へと低下するためには、単にアンメット・ニーズの充足という供給サイドの働き掛けだけでなく、家族計画ニーズの掘り起こしという需要サイドの普及活動をもっと広範囲に、しかも周密に展開する必要があるであろう。